2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会は、過去の博覧会からどのような知識や技術を受け継ぎ、何を世界へ発信するのでしょうか。この記事では、37年前に大阪で開かれた国際花と緑の博覧会、オランダのフロリアード2022、カタールのドーハ国際園芸博覧会2023、そして横浜で開かれるGREEN×EXPO 2027を比較します。会期や規模だけでなく、各開催地が掲げたテーマ、日本によるPR出展、横浜とのつながりにも注目してみましょう。
※「まわるにっぽん!」はGREEN×EXPO 2027の非公式ガイドサイトです。過去の博覧会の数値は各主催者・日本政府(国土交通省・農林水産省)の発表に基づきます。GREEN×EXPO 2027の最新情報は公式サイトでご確認ください。(最終更新:2026年9月)
国際園芸博覧会(A1クラス)とは
国際園芸博覧会は、花や緑の美しさを紹介するだけのイベントではありません。植物や園芸を通じて、都市環境、健康、福祉、食、気候変動など、世界共通の課題に向き合う国際的な博覧会です。
なかでもA1クラスは、国際園芸博覧会の最上位に位置づけられます。AIPH(国際園芸家協会)の承認に加え、BIE(博覧会国際事務局)の認定を受ける国際博覧会であり、1990年の大阪、フロリアード2022、ドーハ国際園芸博覧会2023、横浜の博覧会はいずれもこのA1クラスです。
AIPHの規則では、A1国際園芸博覧会が担う役割として、植物の利用による社会の健康・福祉・環境・経済の向上が挙げられています。さらに、園芸と人・自然・環境とのつながりを明確にすること、世界最高水準の知識や技術を推進して文化と園芸の多様性を深めること、園芸専門家の生産性と国際協力を促進することも重要な柱です。
開催地ごとに気候や社会課題は異なりますが、植物の力によってよりよい未来を考える点は共通しています。それぞれの土地ならではの答えを、庭園、展示、技術、文化交流を通じて提示する場といえるでしょう。
4つの博覧会を比較
4つのA1国際園芸博覧会について、会期、開催地、テーマ、来場者数の規模を整理しました。来場者数は条件がそろっていない点に注意してください。大阪1990とフロリアード2022は実績、ドーハは想定来場者数、横浜は想定有料来場者数です。
| 博覧会 | 会期 | 開催地 | テーマ | 来場者数 |
|---|---|---|---|---|
| 国際花と緑の博覧会 (大阪・1990年) | 1990年4月1日~9月30日 183日間 | 大阪市・守口市 鶴見緑地 | 自然と人間との共生 | 約2,312万人(実績) |
| フロリアード2022 | 2022年4月14日~10月9日 | オランダ・アルメーレ市 | 成長する緑の都市 | 約69万人(実績・当初見込み約200万人) |
| ドーハ国際園芸博覧会2023 | 2023年10月2日~2024年3月28日 | カタール・ドーハ アル・ビッダパーク | 緑の砂漠、よりよい環境 | 300万人(想定) |
| 横浜の国際園芸博覧会 | 2027年3月19日~9月26日 192日間 | 横浜市瀬谷区 旧上瀬谷通信施設 | 幸せを創る明日の風景 | 1,000万人以上(想定有料来場者数) |
1990年の大阪は自然と人間の共生、フロリアードは緑を生かした都市づくり、ドーハは砂漠化の抑制と持続可能な環境、横浜は自然と人が共に生きる未来の風景を中心に据えています。テーマの違いには、時代の移り変わりと、日本の大都市圏、ヨーロッパの都市、中東の乾燥地域という開催地の特色が表れています。
国際花と緑の博覧会(大阪・1990年)|アジア初のA1博
横浜の博覧会は、日本で37年ぶりに開かれるA1クラスの国際園芸博覧会です。その「前回」にあたるのが、1990年(平成2年)に大阪で開催された国際花と緑の博覧会、通称「花の万博」「EXPO ’90」です。
会期は1990年4月1日から9月30日までの183日間。会場は大阪市鶴見区と守口市にまたがる鶴見緑地で、テーマは「自然と人間との共生」でした。アジアで初めて開かれたA1クラスの国際園芸博覧会であり、AIPHの承認とBIEの認定を受けています。
来場者数は約2,312万人で、当初の想定だった2,000万人を上回りました。「花ずきんちゃん」を公式マスコットに、国内外から多数の庭園や園芸展示が集まり、花と緑をテーマにした博覧会が日本でも大規模に成立することを示した催しです。
博覧会のレガシーは今も残っています。会場跡は「花博記念公園鶴見緑地」として整備され、大温室「咲くやこの花館」は現在も公開されています。また、収益をもとに「国際花と緑の博覧会記念協会」が設立され、花と緑に関する助成や普及活動が続けられてきました。
横浜のGREEN×EXPO 2027は、この1990年以来となる日本国内でのA1国際園芸博覧会です。37年の間に都市環境や気候変動への関心は大きく変わり、テーマも「自然と人間との共生」から「幸せを創る明日の風景」へと移りました。同じA1博でも、時代ごとに問い直される課題が反映されている点は、過去の博覧会と見比べる面白さの一つです。
フロリアード2022(オランダ)|10年に一度のオランダの祭典
園芸大国として知られるオランダでは、10年ごとに「フロリアード」と呼ばれる国際園芸博覧会が開催されています。2022年の会場は、アムステルダム郊外に位置するアルメーレ市。会場規模は約60ヘクタール、参加は33か国で、「成長する緑の都市」をテーマに2022年4月14日から10月9日まで開かれました。当初は約200万人の来場が見込まれていましたが、実際の来場者は約69万人にとどまり、開催都市アルメーレにとっては財政面で厳しい結果になったと伝えられています。都市の規模やアクセス、機運づくりが集客を左右することを示す例でもあります。
日本国出展で注目したいのが、屋外展示の一部に設けられた「里帰り花壇」です。春のチューリップから秋のシュウメイギクまで、会期中に移り変わる季節を日本らしい植栽で表現しました。
この花壇には、オランダと横浜の交流から生まれた物語があります。横浜は2012年にフェンローで開かれた前回のフロリアードから、球根や多年草を組み合わせる植栽技術を学びました。その知識を生かし、2017年の全国都市緑化よこはまフェアで市民と花壇を制作。横浜で育った取り組みがオランダへ戻ったことから、「里帰り花壇」と名づけられています。
学んだ技術は、横浜市内の日常的な景観づくりにもつながっています。山下公園などで見られる球根ミックス花壇は、その代表例です。博覧会で得た知識が一過性の展示で終わらず、街の花壇として実践されている点は、国際園芸博覧会が残すレガシーの分かりやすい例でしょう。
屋内展示館では、2022年9月2日から14日まで、9月7日のジャパンデーに合わせた展示を実施。横浜市と協力して花を飾り、2027年の国際園芸博覧会と開催都市・横浜を世界へPRしました。横浜は開催の約5年前から、先行するA1博の舞台で情報発信を始めていたことになります。
ドーハ国際園芸博覧会2023(カタール)|中東初のA1博
ドーハ国際園芸博覧会2023は、2023年10月2日から2024年3月28日まで、カタールの首都ドーハにあるアル・ビッダパークで開催されました。中東・北アフリカ地域で初めて開かれたA1クラスの国際園芸博覧会です。
テーマは「緑の砂漠、よりよい環境」。想定来場者数は300万人で、砂漠化を抑制し、持続可能な環境を確立するための革新的な解決策を世界へ発信することが目的でした。乾燥した地域で緑をどのように育て、資源を守りながら暮らしを豊かにするのか。開催地の切実な課題が、そのまま博覧会のテーマになっています。
日本国屋外出展には、横浜で開かれる国際園芸博覧会のコンセプトエリアが設けられ、開催都市である横浜も紹介されました。また、2024年1月14日のジャパンデーに合わせ、1月9日から21日まで横浜市と協力した屋内展示を実施しています。
メイン展示のテーマは「『YOKOHAMA』から巻き起こす新たな波」。横浜から広がる未来への動きをフラワーアレンジメントで表現し、花や緑を介して次のA1博へバトンをつなぎました。
博覧会は2024年4月8日に閉幕し、日本国政府出展は「金賞」と「銅賞」を受賞しました。厳しい自然環境への解決策を示す国際舞台で、日本の園芸文化と技術が評価された成果です。
GREEN×EXPO 2027は何が違う?
横浜で開かれる博覧会の会期は、2027年3月19日から9月26日までの192日間です。会場は横浜市瀬谷区と旭区にまたがる旧上瀬谷通信施設で、規模は約100ヘクタール。このうち会場区域は80ヘクタールとされています。
想定有料来場者数は1,000万人以上で、ドーハの想定来場者数300万人と比べても大規模です。ただし、ドーハの数字は来場者全体、横浜は有料来場者を対象とするため、単純な実績比較ではありません。1990年の大阪が実績で約2,312万人を集めたことも踏まえると、数字の定義に幅はあるものの、いずれも多くの人が参加する国家的なプロジェクトだと分かります。
横浜ならではの特徴は、大都市圏にありながら、広大な土地を舞台に自然と都市の新しい関係を考える点です。フロリアードで学んだ植栽技術が山下公園などで育ち、その経験が再び国際博覧会へつながっていく流れも見逃せません。海外の知識を取り入れるだけでなく、市民と実践し、次の開催地から世界へ発信する循環があります。
また、日本でA1クラスの国際園芸博覧会を体験できること自体も大きなポイントです。前回の大阪・1990年から数えて37年ぶり、首都圏では初めてのA1国際園芸博覧会になります。国内外の庭園や植物、園芸技術、持続可能な暮らしの提案に触れながら、日本の風土や文化を世界へ伝える機会になります。春から秋まで続くため、季節によって変化する花や緑の表情も楽しみの一つです。
会期や会場などの基本情報は、横浜万博(GREEN×EXPO 2027)とは?会期・会場・開催概要まとめで詳しく紹介しています。

よくある質問(FAQ)
- 日本でA1クラスの国際園芸博覧会が開かれるのは何年ぶりですか?
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1990年に大阪で開かれた国際花と緑の博覧会以来、37年ぶりです。横浜のGREEN×EXPO 2027は、首都圏では初めてのA1国際園芸博覧会になります。
- 1990年の大阪の花博と横浜の博覧会は同じ種類ですか?
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はい。1990年の国際花と緑の博覧会も、横浜のGREEN×EXPO 2027も、AIPHの承認とBIEの認定を受ける最上位のA1クラスです。大阪はアジアで初めてのA1国際園芸博覧会でした。
- ドーハ国際園芸博覧会はいつ開催されましたか?
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会期は2023年10月2日から2024年3月28日までです。閉幕式は2024年4月8日に行われ、日本国政府出展は「金賞」と「銅賞」を受賞しました。
- 横浜の博覧会はいつ、どこで開催されますか?
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2027年3月19日から9月26日まで、横浜市の旧上瀬谷通信施設で開催されます。会期は192日間、会場規模は約100ヘクタールです。
まとめ
1990年の国際花と緑の博覧会は「自然と人間との共生」を掲げ、アジアで初めてのA1国際園芸博覧会として約2,312万人を集めました。フロリアード2022は緑豊かな都市の成長を、ドーハ国際園芸博覧会2023は砂漠化の抑制と持続可能な環境を、それぞれの土地から世界へ問いかけています。フロリアードとドーハの日本国出展では横浜の国際園芸博覧会が紹介され、花と緑を通じて開催都市の魅力も発信されました。
横浜では、過去のフロリアードから学んだ技術が市内の花壇に生かされるなど、すでに国際交流の成果が根づいています。GREEN×EXPO 2027は、1990年の大阪以来37年ぶりに日本で開かれるA1博であり、約100ヘクタールの会場を舞台に、その蓄積を日本から世界へ返す番です。これらの博覧会をつなげて見ると、国際園芸博覧会が知識、技術、文化を次の都市へ手渡していくリレーであることが見えてきます。
